英文契約書作成時の留意点

英文契約書に限らず、一般に契約書を作成するときには、標準的な書式集やひな形集を参考にしたり利用したりことが多いと言えます。
過去に同様の契約例がなければ、こうした書式集やひな型から標準的なモデル条項を集めて、契約書の体裁を取りあえず整えていくことが最も迅速かつ簡便ではあることは確かです。

しかし、書式集等に記載されている標準的なモデル条項というのは、結局のところ、対等かつ平等な当事者関係を前提とした上で、一般に取り決めるべきとされる普遍的な条項を提示しているにすぎません。
そのため、書式集に掲載されている契約書例には、自社にとって有利となる条項もあれば、不利となる条項も少なからず盛り込まれていることが通常です。よって、書式集等のモデル条項を何ら吟味せずそのまま利用してしまうと、自社にとって不利な条項を自ら取り入れる結果にもなりかねません。

そもそも、企業社会における契約関係というのは、当事者間の力関係ないしパワーバランスのもとに成り立っていることは否めない事実ですから(例えば、親会社と子会社間、主要取引先との契約等)、契約書もそうした現実のパワーバランスを反映したものになるはずです。その意味で、当事者の力関係をあくまで対等で平等なものと考える標準的な書式には限界があるのです。また、書式やひな形というのはあくまで一般的ないし典型的なケースを想定したものですから、個別具体的な契約に特有な契約条件までカバーしきれるものではありません。そのため、書式集を吟味せずにそのまま使用するのでは、当該個別具体的な契約において確保すべき条件を落としてしまう恐れもあります。

以上のように、書式集やひな型集には注意すべき点も多々ありますが、これらを踏まえた上で、上手に書式集を活用していくのであれば、当該契約類型において一般に合意すべきとされる点をもれなく拾った上で、迅速かつ効率的に、標準的な契約書を整備することが可能となりますので、有用であることは間違いありません。

そして、英文契約書を作成する場合に最も注意すべきこととしては、当該契約書が取引内容を正確に規定していることは当然として、契約条項の中に自社にとって不利益となりうる内容ないし表現はないか、すなわち将来紛争が発生した場合に自社にとって不利益ないし不都合が生じる恐れはないか入念にチェックすることです。
さらに言えば、各契約条項が出来るだけ自社にとって有利と解釈されうる内容ないし表現で規定されるよう契約交渉段階から十分留意しておくことが大切なのです。